【短編小説7】老師が教えるこの世の果て・無限飛翔

 
僕が師とあおぐ人
 
 
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あれはいつぐらいの
時のことだったろう。

小学校低学年だったとしたら
記憶が鮮明すぎる。
小学四年生くらいかな?

いつから、なぜかはわからないが、
僕は町のはずれにある、
ある一軒家によく遊びに行った。

そこには60~70歳くらいだろうか、
ひげをのばしっぱなしにした
おじいさんがいた。

そのおじいさんが気になった僕は、
何度もその家に行くようになった。

おじいさんは身内がいないらしく、
無邪気に遊びに来る僕に、
しだいに優しくするように
なっていった。
(と思う。)

おじいさんは物知りだった。
ちっぽけなアリでさえ
理解するのは難しいとか、
電話やインターネットの仕組み、
成り立ちなど、
風変わりな知識を教えてくれた。

僕はそのおじいさんを
尊敬の意味を込めて
「老師」と呼んでいた。

ひとつ、とても印象深い
出来事があった。

学校で「宇宙」について
教わった。授業中じゃなくて
先生との談話の中でだ。

簡素に言えば地球は広い、
太陽系はさらに広い、
さらに銀河系が連なり、
宇宙は果て無く広い。

僕は聞く。その宇宙の先は
何があるの?
先生は言う。それはまだ
解明されてないんだ。
さらに僕は聞く。先生なのに
わからないの?

先生は少しムッとして
教室から出ていった。

僕は宇宙の先が本当に
わからないのか気になって
老師のところに聞きに行った。

老師は言う。
「広い宇宙の果ての先。
そこは青い世界だよ。」
僕「青い世界?」
老師「ちょうど地球の
青空のようなきれいな青だ。
世界の根源は青なんだ。
そこへだれもが目指さなくては
ならない。これが涅槃だ。」

僕「ネハン?」

老師「死んだあと誰もが
目指す道だ。たましいかな。
それが宇宙の果ての先の
青い世界まで永い旅に出る。」

僕「それじゃあ青い世界には
何があるの?そんなに
いいところなの?」

老師「それはなあ、坊主、
その時までのお楽しみだ。
なんでもかんでもわかったら
つまらんだろう。わしも
そろそろ旅立つころかな?
なんてな。ワハハハ!」

このやりとりは今の僕の
記憶に鮮明に残っている。
話そのもののインパクトも
そうだが、この数日後の
出来事も要因だ。

その日も老師の家に
遊びに行った。しかし、
家の前にはひとだかりが
できていた。

どうしたのか周りの人に聞くと、
老師が亡くなったという。
心臓の病気だと。

僕はその場でワアアア!と泣いた。
老師ともう会えない。
もっともっといろいろ
教えて欲しかったのに。
涙が枯れても泣き続けた。
ワシもそろそろ旅立つころかな?
あの冗談を思い出した。

その後、

老師についてのうわさがたった。
近所では有名な
インチキじいさんだったと。

その時の僕はそんなことない!と
憤慨したが、
いろいろあった思春期の頃は
老師にだまされていたのか、と
うたがったりした。

そして20年経って
大人になった今。
老師のことが少し
わかってきたような気がする。

涅槃の意味も全く違う
わけじゃないがデタラメだ。
たぶん青い世界の話も
老師の作り話だろう。

それでいいと思う。だって
世界の神話だって全部
作り話だろう?

誰だって自分の世界で生きている。
僕は数か月間、老師の世界を
のぞき込んでいたんだろう。

老師は今どこにいるんだろう。
旅は終わったのだろうか。
たぶんだけど、
青い世界に行くのを忘れて、
生き物のいるほかの惑星さがしを
している気がする。

世界の根源は青なんだ。

この言葉を、今でもよく
思い出す。

    了

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コメント

  1. より:

    ノンフィクションなのかな?けっこうおもしろい話でした。
    老師さんのメッセージ性がある感じですね。
    その老師さんがどこから来たのか、なぜそんな話をしたのか謎がありますね。
    僕の場合は、宇宙、世界とまではいかないけれど、日本一周くらいはしてみたいなと思っています。ご当地の食べ物だとかイベントなど楽しみたいですね。
    あと、ツイッターはやめて正解かもしれません。無理言ってごめんなさいね。
    ブログこれからも楽しみにします☆彡

    • デルロット より:

      ノンフィクションではないです。
      たぶんだけど、僕にはおじいちゃんの
      記憶がないので、いればよかったなあという
      願望からきているのかもしれません。
      老師の過去は正直考えてなかったです(-_-;)
      若い時に奥さんを失くして再婚せず。
      とちゅうで仕事を辞めて好きなように生きる。
      一人で空想や思案するのが好き。本も好き。
      こんな感じですかね。

      さて、ここのブログでは
      次が最後の記事になると思います。
      見てくれると幸いです♪